旅人の探検

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旅人の探検

初めて国外に出たネリウスには、すべてが物珍しい。 大陸最大の湖も、そこに離着岸する船の様子も、平らな地面も、街に並ぶ店も、建物も、何もかも。 あてもなくふらふら歩いていると、挙動不審と思われたのか、町の警備らしき衛士に声を掛けられた。 アルシュファイドは初めてだと言うと、簡単な地図を渡してくれ、主な観光に向いた施設などを教えてもらった。 「宿の場所は分かりますか?」 そう聞かれ、まだ決めていないと言うと、予算に応じて宿まで紹介してくれた。 なんと親切な兵士だろうと宿の(あるじ)に言うと、あれは兵士じゃなくて騎士様さ、と言った。 「どう違うんだ?」 「兵士は一般人でもなれるが、騎士様はきちんと訓練なさり、勉強なさり、何より他人に尽くしなさるのさ。アルシュファイドの誇りだよ」 ほほう、と感心していると、ところでヅーリー食べないかい、と言ってきた。 珍しいものは大歓迎だ。 勧められるまま食べて飲んで、ネリウスは宿の部屋に上がってぐっすり休んだ。 前の晩、早くに寝たからか、翌日早くに目覚めたネリウスは、貰った地図を片手に街路を歩いた。 陽は射しつつあり、格子道路の奥の水の流れが見えるようになっていく。 地図に表神殿と書かれたその場所に近付くと、ちょうど騎士が扉を開けるところだった。 目が合うと、おはようございます、と爽やかに挨拶された。 「もう入っていいのか?」 まだ6時だ。 すると騎士は笑顔のまま、いつでも入っていいんですよ、と言った。 「夜間は扉を閉めてはいますが、鍵は開いていますから、自由に入ってください。ただ、問題がないか確認のため、声を掛けさせてもらいます」 ほぉう、と感心しながら、促されるまま中に入る。 正面には三角の塔が見え、左右には2階建ての四角い建物が見える。 きょろきょろしていると、尖塔に行ってはどうですか、と言われた。 「四の宮は8時に開場なんですが、尖塔はいつでも入れますから」 「四の宮?」 「土、風、水、火のよっつの宮で、四の宮です。それぞれ、属性に合った修練が出来ますよ…ああ、開けばですが。尖塔は結界以外何もありませんが、しんとした静かな美しさがあって、心が落ち着きます」 その言葉に興味を持って行ってみると、扉は閉まっており、表に立っていた騎士が、入りますかと声を掛けてくれた。
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