謁見

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そう言うアークの目が鋭くギルドメアを見た。 彼は瞳を揺らして顔を赤くした。 「はっ…、失礼、配慮が足りませんでした…」 ギルドメアは初めて表情らしきものを見せた。 アークは目を細めて相手を見た。 「今、修復と言いましたね…その者は修復を手伝うだけで、術者はそちらから出してもらいます。それは了承済みですか?」 ギルドメアは頷いた。 「はい、適切ではありませんでした。お許しください。了承しておりますし、術者の準備もあります」 「東西セルズ政府には話を通しておられますか?」 「そこですが…秘密裏に処理したいのです」 アークは瞳を険しくした。 問題外だ…それでは安全の保証がないではないか。 だがギルドメアは続けた。 「それがそちらの彩石判定師殿の身の安全に繋がると考えております」 アークは目を見開き、ゆっくりと細めた。 存在を知られる方が危険だとの判断なのかと。 「…そのような綱渡り…許すわけには参りません」 「では何ゆえ働きかけられたのです」 アークは瞬きし、殊更平静を装った。 「それが貴国らのためと思ってこそ。ですが、わたくしたちの民が危険とあらば話は別です」 「そうではありますまい、カザフィスの結界修復が成ったとき、そちらの彩石判定師の危険は確定した」 アークは眉根を寄せたが、視線を落とすのは辛うじて(こら)えた。 「それを押して国外へ出した。アルシュファイドの結界では火山の爆発を防ぎきれないとのご判断では?」 アークは組んだ手を離し、拳を握り、机の上に置いた。 「我が祭王への不敬、恥じるがよかろう!」 その声は少女と思えぬ威厳に満ち、ギルドメアは圧力に耐えかね、一歩退(しりぞ)いて腰を(かが)めた。 「し、失言でした…何卒お許しください…しかしながらそれでは何ゆえ」 「既に申した。貴国らのため、いや、民たちのためだ」 ギルドメアは次第に目を見開き、だがまだ信じられないという顔をした。 「それでは…まったくの無償でカザフィスのために動いたと申されますか…」 アークは目を細めた。 「むろん対価はいただいた」 ギルドメアは一歩前へ身を進めた。 「どのような対価でも支払います!我らをお救いいただきたい!」 アークは視線を伏せた。 そうして静かに言った。 「既にそれは支払えぬと明言されたではありませんか」 「なっ?どういう…」 ギルドメアは気付いた。 彩石判定師の身の安全。
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