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「それが、最後の頼みの綱です」
東西セルズが考えを改め、共通の認識を持つこと。
どちらが先でも、結果は同じだと納得すること。
何より、ミナの身の安全を第一に考えること。
「一時でも早く」
ギルドメアの瞳にようやく諦めが宿った。
「…では、次の機会があることを願います」
アークはアルを見て、頷いた。
アルは進み出て、ギルドメアを促した。
ギルドメアは肩を落として、政王執務室を出た。
「…アーク」
ファイナの呼び掛けに、アークは頷いた。
「準備を始めるわ。まずはサールーンから」
準備というのは、目に見える形で準備するということだ。
既に新たな結界の形は決めてあるし、術者も準備がある。
東西セルズからの難民の受け入れについても検討済みだ。
これで動き出してもだめなら。
本当に。
望みはない。
「アル。彼が船に乗るのを見届けて。ミナの帰国と重なると面倒だわ」
「分かった」
アルは出ていき、アークは次の謁見希望者を呼んだ。
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