帰国の途

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グレンが言うと、政王は…アークは、ちらりとギルドメアを見た。 「それで…なぜその方を連れて?」 「はい、アーク様には、彩石判定師殿の身の安全が不安とか…そちらは私が保証したいと思うのです」 アークはグレンを見上げる目を細めた。 「そう容易とは思われませんが?」 「ヴァッサリカの力はそこまで不確かなものではありません。アーク様、こちらの者は段取りを、私が安全を保証することで納得いただけまいか」 アークは迷った。 東西セルズの意識改革は大事だが…ヴァッサリカ公国が両者の間に入ると言う。 「具体的には、既に受け入れを示した東セルズから回ります。西セルズも、サールーンの結界修復が成った今、受け入れは時間の問題と考えます」 アークはギルドメアを見た。 「それであなたは納得したのですか」 ギルドメアは一も二もなく何度も頷いた。 「構いません、結界修復さえ成せるならば」 アークは息を吐いた。 ここを落とし所とするよりない。 「分かりました。我らが彩石判定師の身柄、ヴァッサリカに預けましょう」 「ありがとうございます!直ちに手配します!」 グレンの言葉に、アークは困ったように笑った。 「礼を言うのはこちらです。いえ、あの者が無事帰った時にこそ改めて言わせてください」 アークの表情は複雑だった。 決意、諦め、覚悟が、ない交ぜになった顔だ。 「ミナをよろしく頼みます」 グレンは左胸に手をあてて、上体を傾けた。 「心して事にあたりましょう」 こうしてようやく、グレンとギルドメアの仕事は、一歩前に進むことができたのだった。
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