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あんぐり口を開けて頂を見上げるネリウスを微笑んで見つめ、ユゥリは先ほどの知らせの返事を受け取り、目を通した。
『そのまま、供をせよ』
「あちらで馬に餌をやれます。行ってみませんか」
ネリウスは大きく頷き、馬との触れ合いを楽しんだ。
「あちらで馬に乗ることができます。どうします?」
もちろん乗る、と言ったあと、ネリウスは気付いた。
「そういえば、ユゥリには用事があるのではないのか?」
ユゥリは首を横に振った。
「今日は休暇で来たんです。良ければ付き合わさせてください。ひとりより、ふたりの方が楽しい」
ネリウスは頷いた。
確かに、昨日、あてもなくふらついていたときよりも、今の方が断然楽しい。
ふたりは、再び道路を横断して、手前にある初級馬術場に入った。
こちらでは、利用料を支払い、ネリウスは係の者から乗り方を教えてもらった。
ユゥリは問題なく乗れるので、ネリウスがひとりで乗れるようになるのを待つ。
その後、木々がまばらで見通しのよい小道を、並んで馬を歩かせ、一周する。
帰ってくると、さすがに疲れたが、それは気持ちのよいもので、ネリウスは笑顔で近くの長椅子に倒れ込んだ。
「ああ、楽しいね!でも少し休ませてくれ…」
ユゥリは笑って、隣に座った。
「そろそろ昼ですから、休んだら食事に行きましょう」
「食事といえば夕べ宿で色々食べさせてもらったよ。ヅーリーだったかな、おいしかった。他にも色々食べたいね」
「そういう食事ならこれから行くところはちょうどいい。入れなくなると困るからそろそろ行きましょう…大丈夫ですか?」
聞かれてネリウスは、充分休んだので、もちろん、と答え、立ち上がった。
ふたりが入ったのは、一旦、入場門を出てすぐのブゼ亭。
主食にプノムかヒュミ、あるいは両方を半々に器に盛り、主菜や副菜は大皿で来る。
ふたりで大皿をいくつか頼み、分け合う。
他に汁物も頼み、それぞれにひとつずつ。
ふたりは大いに満足し、店を出た。
「今日は1日暇なので付き合いますよ。中心街に戻って北門前広場から続く街の通りをぶらついてみますか?表神殿にはもう行かれましたか。港の方は?」
「表神殿には行ったが、尖塔とかいうところしか開いてなかったよ、今朝早かったからね。港の展望露台で朝食を食べてきた。フッカとかいう食べ物は柔らかいね!」
今朝の味わいを思い出す。
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