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葉茶とは、様々な色彩を持つ茶の総称で、すべて茶の木の葉から作られているためそう呼ばれる。
原木に多少の差はあれ、同じ種類の木で、色彩の違いは主に発酵の仕方の違いによるものなのだ。
茶には他に、薬草や香草などから作る草茶、穀物から作る穀茶、茸から作る茸茶、花弁から作られる花茶、木の種から作られる種茶、同じく、木の種から作られる豆茶がある。
同じように木の実の種でも、豆茶は、甘豆(あままめ)の木に生る実の種と決まっている。
苦いのに甘豆とはどういうことだと思っていたが、ミナはカザフィス王国の豆茶畑に行ってようやく知ることができた。
実が甘いのだ。
しかもとても薄く、食べるのはガルバルくらいのものだそうだ。
…ガルバルって恐ろしい獣じゃ…まさかの草食系。
とミナたちは驚きに言葉を失ったものだ。
それも楽しい思い出のミナは、ほんのり微笑む。
「葉茶はカザフィスでは高級なんだよ。豆茶が盛んに飲まれていることもあるから、なかなか見られないだろうね」
テオが教えてくれた。
「ああ、それってちょっと困るかもしれないですね、豆茶苦手な人…」
その苦さから、大人でも飲めない者がいるのだ。
軽い気持ちで喫茶店に入って、注文できないでは、がっかりだ。
「その辺りも旅行前に周知するよう、計らわねばならないな。文化の違いで勝手に落胆しては、あちらに悪い」
ユラ-カグナの言葉に、ミナは頷いた。
細かく見れば色々問題はあるものだ。
同じ大陸に住むのに、この違いは不思議でもある。
「さて、昼からは禁書庫で結界の変遷について確認してきてくれ。そこからサールーンと東西セルズの結界に出来ることを考えねばな…複写は彩石騎士居室にあるから、それで資料の大体の場所を知るといい」
「承知しました」
「デュッカは手伝ってやれ。資料は大きくて重い」
「おや、私が手伝おうか?」
テオが言い、デュッカに睨まれるが当人、気付いていない。
ユラ-カグナは、あー、と意味のない声をあげ、続けた。
「テオは自分の仕事があるだろう。デュッカは暇なんだ」
「いや、これも仕事のうち…」
「俺がやる」
有無を言わさぬ強い口調にテオは驚き、そうかい、そこまで言うなら…、とようやく身を引いた。
「あのぅ…デュッカ、風の宮は…?」
さすがに不在が過ぎるのではとミナは思って聞く。
「問題ない。用があれば知らせが来る」
「はあ…なるほど?」
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