第一章 招待状

20/67
前へ
/382ページ
次へ
 ホームのど真ん中に立っていて背中に鞄を背負っているので、人とぶつかり、弾き出されるように、ホームの端の方へ押し出される。  背後からどん、と人が当たった。よろめく。駅のホーム、白線の近くだった。  危ないじゃないか、と思った。もちろん、口に出して文句を言ったり、相手を呼び止めるつもりはなかったが、さすがに相手を見た。  俊輔の目が、おや? という感じになった。  三メートルほど離れた場所、ホームの縁に少年が立っていた。背丈は自分と同じくらい。ややうつむき加減。脱色した金髪の前髪が目にかかり、表情は分からない。  目がとまった理由は、服装だった。  全身が白ずくめだった。上から下まで白い服を着ていた。白いズボン、白い靴、上着も白だった。服の形は詰め襟のついた学生服に似ている。
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1683人が本棚に入れています
本棚に追加