第一章 招待状

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 バスと電車を乗り継いで秋葉原に着いたのは夕方の五時頃だった。  駅のホームには、俊輔と同じような制服姿の学生、大学生ぐらいの若者、営業帰りのサラリーマンなどがいた。  秋葉原は、複数の路線が入っていて、出入り口も多いので、人がてんでバラバラの方向に向かう。おまけにホームが狭いので、人混みに馴れていない俊輔は、たまに人とぶつかった。  鞄を肩から掛けていた俊輔は、よろよろとよろめいた。サラリーマンが舌打ちするが、俊輔の耳には入っていなかった。  えーと、どの出入り口から出るのがいちばん近いのかな?  きょろきょろと出入り口の表示を見る。いつも梅島と一緒に来ていたので、一人で秋葉原に来るのは久しぶりだった。常に梅島任せだったので、どの出入り口から出るのが目当ての店に近いのか分からなかった。
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