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白い服を着た少年は、まったく声が耳に入らないように、線路の上に立っている。まるで駅のホームで電車を待つ場所を、単に間違えているかのようだった。早く電車来ないかな、という風に。
非常用緊急停止ボタンが押され、辺りが騒然としてくる。駅のホームの異常さは伝播し、ざわめきが大きくなる。
「なんだなんだ?」
「自殺? マジ?」
「駅員まだかよ」
スマホで動画を撮る人もいる。
俊輔はただ、少年を見ていた。ホームの上から。喧噪の中で、何もできずに状況を見ていた。どうしていいのか分からなかった。みんなホームの端から、少年に呼びかけていた。
「やめなさい」
「早く上がれ」
「電車が来るぞ」
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