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少女がまるで米俵のように、俊輔の身体を肩にかつぐ。実に軽々と。
手の甲でトントンと車を軽く叩くと、後部座席の扉が開いた。ぐったりと動かない俊輔を、後部のシートにのせる。
感情のないグリーンの瞳が、少年を冷たく見下ろしていた。
「あ……ああ……」
俊輔が口からよだれを垂らしながら、少女の顔を見ていた。
少女はポケットからもう一度、スタンガンを取り出すと、少年の腰に押し当て、ためらうことなくスイッチを押した。
俊輔の身体がびくんと跳ねた。
真っ暗な闇の中に落ちていく少年の耳に、車のドアが閉められる音がかすかに聞こえた。
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