第二章 試合開始

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 俊輔はぽかん、と大型スクリーンを見ていた。 「さっそく本日のカードをご紹介しまーす」  まーす、と語尾が伸びる、やたらと明るい声がいらつく。 「拷問トーナメント三回戦 白い貴公子vs肉屋」 「いよいよ、みなさん待望のカードです。沈着冷静、冷酷無比。現代の青髭とも言われる白い貴公子と、史上最強のチェーンソー使い、デーモンブッチャー(悪魔の肉屋)との対戦です」  アニメの3D映像が出る。白いビニールの前かけをした太った男が、自分の身体ほどもある巨大なチェーンソーを担いでいる。  坊主頭の男が咆吼とともに競艇のエンジンみたいなチェーンソーを振り回すと、旋風が巻き起こり、竜巻が天空に龍のように螺旋を描いて駆け昇っていく。  まるで、ロックフェスとか、プロレスで出場前に流される煽り画像。
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