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私よりほんの少しだけ背の高い彼は世に言うイケメンなのだろうか。
無造作な茶色掛かった髪は流行りだろう。
待て、我が校は髪染め禁止だぞ。
「野々村君」
「村上です。」
「髪染め禁止だぞ。明日染め直して来い。」
それだけ告げると壁に押し付けている彼の腕を剥がす。
私が奮闘しながら壁と男の間から出るのを面白そうな目で見ている。
勘弁してくれ。
休み時間だぞ。
他の生徒も見てるから。
「先生って、トドみたいですよね」
「あ?」
喧嘩売ってるのかこいつは。
「なんか寝るか食べるか飲むか?授業はたまのトドショー的な感じですよ。」
「おい少年、私に喧嘩売ってるなら受けて立つよ。ただし違う日にしなさい。今日はアタマが痛いのだ。」
「心外だな。俺は先生の授業は面白いって言ってるんですよ。」
とてもそうは聞こえなかったぞ。
「ただなんか....」
「トドですがなにか?」
睨み付ける私を少年は面白そうにクスリと笑った。
今度こそ頭に来たぞ。
いつかこのお礼してやるからな。
村瀬君。
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