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「えー先生方、放課後に誠に恐縮ではございますが、新任の先生をご紹介します。」
6月も半ばに入ろうかという頃、大して恐縮してなさそうな校長の言葉でいそいそと帰ろうとしていた私は足止めを食った。
「細川先生が産休に入られてしまったので、その代講の先生をね、ご紹介致します。」
細川嬢は先月妊娠3か月目突入だったそうだが、どう考えてもあり得ない時期から産休に入ってしまった。
要はデキ婚だったのだ。
「えー、荒木祐希先生ですね。はい。」
校長の紹介と同時に校長室から教師が出てきた。
その教師を見た瞬間、私はギョエーとマンガのような声を上げてしまった。
「ん?浅野先生どうなさいましたかな?では、」
いやだって、ショッキングピンクの超ミニスカートを履いてキャバ孃メイクをしてるその方はいつかに焼き肉屋でお会いした方じゃございませんこと?
「改めまして荒木です。短い間ですがどうぞよろしく。」
この前とはうって変わって鈴のなるような声でお辞儀をした。
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