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「ま、そんなところかな。街に出てきてすぐ2人と出会って、意気投合して人間界まで来たんだ」
ふーん。魔界から人間界に行くのって、私たちが海外旅行するよりずっと大変だと思うんだけど、そんな簡単に決めちゃえるものなんだ……。
それとも、都会に出てきたついでに、ちょっと遠出って感じだったのかな?
それって……。
「フロリアの一族ってみんなそんな性格なの?」
「そんな性格ってどういう意味?」
「……思いついたら、考える前に即実行」
そこまでは言わないけど……楽しいと思ったらとりあえず試してみるって感じかな?
そう言おうとした時、ふっとフロリアの顔が目に入った。
あれ? なんだか困った顔してる。
「あ、ユーゴ。戸棚におやつの残りがあるから、ロイと一緒に食べてきたら?」
それを見ちゃったから、私は、ユーゴと、それ以上に興味津々って顔をしているロイを、さり気なくキッチンに追いやった。
「さて、僕はこれを部屋に飾りに行くかな」
「うん」
「本当だよ。楽しそうだから、人間界に来たって言うのはね」
「わかってる」
そう答えた私も。
「そう。でも、まだ本当に楽しい思いはしてないな」
そうやって、茶化したフロリアも。
心のどこかで、疑問が残っていることをなんとなく感じていた……。
静かな部屋に響いてる時計の音につられて目をやったら、もう夜中って言ってもいい時間。
ふう。もうこんな時間。早く寝なきゃね。
最後に、明日の準備ができてることを確かめて、さあ、ベッドに行こう。
コンコン
あれ? こんな時間に?
「誰?」
「部屋に入れてくれるかな?」
「ふ、フロリア!?」
ど、どうして、フロリアが?
夜中に女の子の部屋に来るなんて……いろいろな想像が駆けめぐって、ワタワタしちゃう。
そしたら、ドアの向こうで苦笑いする気配がした。
「一体何を慌てているんだい?」
「えっと、その……こんな時間に何の用?」
「用ってわけじゃないけど、ちょっと君と話しがしたくてね」
「話がしたい?」
ホントにそれだけなのかな? つい疑い深くなってしまう私。
「疑ってるの?」
「だって……」
今までの行いが行いだもの。
「本当だよ。誓って何もしない」
うーん。
「魔物が誓いなんて言うのも変かな? でも、本当に話がしたいだけなんだ」
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