2016.6

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2016.6.13.Mon. まぶしすぎる朝日に照らされて いつもと変わらない『特別』な日が始まる いつもと同じ電車に乗って いつもと同じ場所に行って いつもと同じことをして そして少しだけ、いつもと違う場所に行く にわか雨の中 わたしを迎えにくる白い車 彼からの連絡だけが わたしの無機質な携帯を優しく震わせる 「ついたよ」そう、一言 日常の風景を低いところから見上げてみる 大きすぎる世界に眩暈がしそう 高すぎる鈍色の空からは 変わらず細い線の涙が流れていて わたしの醜い心を濡らしていくの お金なんてなくても ふたりでいられるだけで幸せ そう、思っていた 彼の方を少し見る、目が合う ハンドルを握りながらわたしを見て 小首を傾げる愛おしい彼 「なんでもない」そう言って わたしは目を逸らす 雨風の届かない場所でふたりは「愛」し合う 永遠にこのときが続くはずない わかっていながらも永遠を願う 欲しがりなわたしに応えるように 彼はそっとわたしを抱きしめた 今日が、最後だから。 そう頭でわかっていても 心が理解してくれない 「どうして?」が降りやまない心 自然と涙がこぼれた ぐしゃぐしゃな顔と心で彼を見ると 彼もぐしゃぐしゃな顔でわたしを見ていた 「また、会えるよ」 彼の言葉にまた潤む視界 そっとわたしの髪をすくう彼の指 わたしはそっとうなずく 理解なんてできるはずないのに 納得なんてできるはずないのに いつもと変わらない『特別』な日が終わる 月だけが爛々とひとりのわたしを照らす 明日から、笑えるように わたしはそっと月を見上げて また一筋 そっと涙をこぼすの HAPPY UNHAPPY BIRTHDAY TO ME...
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