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「もう、BL作家としての私の勘が、ビシバシ訴えてくるんです! お義兄さんの周りには、絶対小説のネタになる様な出来事や、モデルになりそうな一癖も二癖もありそうな人間がゴロゴロしてるって!!」
その強固な主張に、秀明は僅かに顔を引き攣らせながら、やんわりと断りを入れようとした。
「確かに、色々毛並みの変わった奴等は知っているが、そういう話のモデルになりそうな奴は」
「その中でも一番は、やっぱりお義兄さんですが。この際、デビュー本の続編を書いて良いですか? あれは以前から評判が良くて、編集さんから『続編を書いてシリーズ化はしないのか』とこれまでに何度も話が」
「分かった。俺の大学時代のサークルの後輩で、一癖も二癖もある奴らの中から厳選して、美実ちゃんの作品のモデルになりそうな奴らを紹介しよう」
「本当ですか!?」
自分にお鉢が回って来る可能性を察知した途端、秀明はあっさりと前言を覆し、無関係の後輩達を叩き売った。それに嬉々として美実が声を上げると同時に、ドアを開けて美幸が居間に入って来る。しかし目の前のソファーで横たわっている秀明の足を跨いで座り、両手で彼の胸元を握り締めている美実の姿を見て、ビシッと固まった。
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