第31章 秀明の気苦労

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「それはそれは、随分と気前の良い事ですね。ですがそこまでして頂かなくとも、普段、プライベートな案件は持ち込まない社長からのご依頼ですから、他の調査を一時的に止めても必ず期日までに調べ尽くしてご覧にいれますので、どうかご安心下さい」 「それは助かる」  あっさりと保証して貰って秀明が安堵すると、今度は金田がはっきりと苦笑いしていると分かる口調で告げてきた。 「警備部の方からも、今日の報告が上がってきております。何かあるだろうなとは思っておりました」 「確かに今日の事に、間接的に関係があるな。今から項目を一覧表にしてそちらに送るから、宜しく頼む」 「お任せ下さい。それでは失礼致します」 「ああ」  そして首尾良く事が運んで安堵した秀明だったが、これから後輩達に降りかかる厄介事を思って、思わず愚痴を零した。 「淳……。連中の恨み言の半分は、お前が引き受けろよ?」  そして手早く調査事項を纏めて入力を済ませた秀明は、金田宛にメールを送信してから、こんな時は早く寝るに限るとばかりに、黙々と寝支度を始めた。
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