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何度も何度も、気が遠くなるような深いキスをしながら、豆太郎が私の着ていたガウンを脱がしていく。
露になった私の肌に、豆太郎が手で触れながら口づけていく。
私が感じる所を、何度もその唇や指で刺激する。
「仁香……きれいだ」
恥ずかしさはいつの間にか消えていた。豆太郎に触れられることが気持ち良かった。
豆太郎の脇腹には、刺された傷痕がまだくっきりと生々しく残っていて、痛々しかった。
「傷……大丈夫?痛くない?」
そっと触れてみる。
まだあれから一年も経っていないのだから、傷口がはっきり残っているのも無理はない。本当に無事で良かったと心の底から思う。
「大丈夫。たまにまだ疼くこともあるけど、そんなに激しく動かなかったら」
「痛かったら途中で止めても良いわよ?」
「誰が止めるか。何回おあずけくらったと思ってるんだよ」
豆太郎のことを本気で心配して言ってあげているのにそんな風に毒づかれ、座り込んでいた状態から再びベッドへと沈められる。
見上げた先にある豆太郎の私を見つめる瞳が、とても嬉しそうだ。こんな混じりけのない少年のような無邪気な笑顔を見るのは、いつ以来ぶりだろうか。
「指輪はしてきてないのか?」
「あんな高い代物、海外へ行くのに気軽にしてこれる訳ないでしょ」
豆太郎から貰った婚約指輪は、貰ってから何度か返そうとしたけれど、その度に突き返された。結局、指輪は私の部屋の棚の所にしまわれているままだ。
「そうか。それなら、いつでも気軽にはめれそうな指輪、今日買ってやるよ」
豆太郎が、私の薬指に触れてその部分にキスしながら呟く。
「ほんとに?それなら、可愛いの買ってよね」
そう言って悪戯っぽく笑う私に豆太郎も微笑みながらキスをする。
とろけてしまうんじゃないかと思えるくらいの甘い時間。
この時が永遠に続けば良いのに。
「豆太郎……大好き」
キスの合間に吐息を漏らしながら呟いた私の言葉に、豆太郎も切なそうな、それでいて小さく微笑みながら言葉を返す。
「仁香。俺も好きだ。昔も今も、これからもずっと」
そうして太陽の光が見え始めた頃、ようやく私達は結ばれた。
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