Kussy

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「浜田さんは株初めて?」 「はい、口座は開設してみたんですが分からない事だらけで一歩踏み出せなくて」 「へぇ。でも全く分からないなら、少し勉強した方が確かにいいかも!僕はFXやっててチャートはよく見てるけど、株は初めてって感じかな」 FXも確かにやってみたいと思ってたけど、更に分からなくなりそうで尻込みをしていたのだ。 「いいですね~。私全く分からないから、ついて行けるか不安になってます」 「やり始めないと分からない事は沢山あるよ?株だってさ、知識と儲かるはイコールじゃないと思うから」 何気なく会話をしていて思った事そのイチ。 『この人恐らく…かなりデキる!』 謙虚なヴェールで隠してるけど、なんか余裕があるというか『FXで食べてる?』位のトレードをしているような気がした。 美味しいナポリタンを食べ、お腹一杯で大満足だったが藤野さんがお金をサラッと出してくれたので、明日は私が払いますね!と言って店を後にした。 「気にしなくてもいいのに。同じセミナーの人と知り合いなれたし、ランチぐらい構わないよ?」 「でもあと4日もありますから、明日は私が。今日のお詫びも兼ねて」 「僕だって借りたからあいこだよ。浜田さんて律儀だね」 途中まで並んで歩いていたが、自販機を見つけるとペットボトルを二本買い、藤野さんの所まで走るとお礼を言って一本渡した。 部屋に戻ると、グループに分かれて集まり会話が弾んでいたが、特に関わりたいとも思わなかったので藤野さんの隣で静かに始まるのを待つ事にした。 午後からの2時間も私だけがカリカリとペンを走らせ、たまに藤野さんがマーカーで印をつける。 1日でザックリとした流れを教えてもらうと、初めは怖そうだったが意外と面白そうという印象で終われた。 皆が帰り始めると私はペットボトルの蓋を開けて、まずはジュースを飲んで水分補給。 「どうだった?昼からは」 バッグに資料を入れながら藤野さんが声を掛けてくれた。 「朝よりは何とか。楽しそうだけど用語とか分からない事が沢山あるので、帰りに本屋さんに直行します」 「じゃあ僕も買いたい物あるしお供してもいい?」 「はい!ぜひ!」 藤野さんが一緒なら、迷った時に聞けるし心強い。私もバッグに急いで資料をしまうとドアを開けて2人で外に出た。
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