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「ちょっと待ってて」
自動ドアを出てすぐの駐輪スペースに自転車と取りに行くのを見ると、近いのかな?と想像が出来る。
押して来た黒の自転車はミニバイクサイズで小さなカゴがついていて可愛い。
サドルが高いので私には足は届かないが、ちょっとチャリが欲しいと思ったぐらいだ。
「近場の移動はコレ。小回り利くし便利だから」
「近くなんですか?そのチャリ…可愛いですね」
「有難う。ここから15分位だよ」
並んで歩きながら定番の『どこ住んでる』の話。私はタクシーだったが、バスで20分位で来れる事が判明した。
藤野さんは親切にバス乗り場と何処行きに乗ればいいまで教えてくれた。
「そこを曲がれば本屋さんあるから。結構広いし、DVDのレンタルもしてるからよく行ってる」
「へえ、さすが地元だけあって詳しいですね~」
歩きがてらコンビニの場所やパン屋さん等、ミニ情報も入手でき藤野さんと隣になれて本当に良かったとウキウキしながら話を聞いていた。
本屋さんにつくと、藤野さんが自転車を止めるのを待って並んで入り口の自動ドアを潜った。
右手に本、左手はレンタルスペースに分かれていてレイアウトも分かりやすい。
上のプレートを見ながら進むとお目当ての本まで楽に辿りつく事が出来た。
「僕はちょっとあっちに行ってから戻ってくるね」
「はい」
私はどれにしようか選んでいたが、初心者の…とか分かりやすいとタイトルがついている本を片っ端からパラパラと捲っていった。
『う…ん。コレは漫画の解説があって分かりやすいな』
直感的に分かりやすい物を何冊かピックアップしていると「えっ!何冊買う気なの?」後ろから声がして振り向いた。
藤野さんがククっと笑いながら私の左手に抱えた本を見ている。
「いや…何となく増えてきてしまって」
「一度にそんなに読んでも混乱するだけだよ?せめて2冊位にしておけば?用語が分からないなら、コレとかいいと思う」
迷う素振りも見せず2冊を指差し、素直に言われた本に決めた。藤野さんはカメラの雑誌とよく分からないが分厚い文庫本を持っている。
何読まれるんですか?と聞きたかったが、実は怪しい内容だったら言いにくいかも…と余計な気を回してあえて質問はしないでレジに向かった。
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