Kussy

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「ポイントカードはお持ちですか?」の質問に藤野さんの顔を見た。 「藤野さんお持ちですよね」きっと常連の筈だから持ってるに違いない。案の定私に渡してくれたのでそれを店員さんに出した。 私は5日しかこの辺りに来ないので、作ってもあまり意味がない。会計を終えた私達はそこで別れる事にした。 バス停まで見送ると言ってくれたが、色々お世話になったしこれ以上甘える訳にもいかないので遠慮しておいた。 「じゃあ又明日」 「はい。今日は有難うございました」 バス停まで歩くと、丁度いいタイミングで私が乗りたいバスが来たのでタラップを上がり席につくと、回りの景色を確認しながら停車駅を確認していた。 自宅付近のバス停で降りスムーズに家に帰る事が出来た私は、早速本を取り出して今日習ったことのおさらいに入った。 分からない用語は別にノートに書きだして纏め、マーカーを引きながらゆっくりと進めていく。 休憩で少しでも時間が空くと思い浮かぶのは清水さんの姿。 早く会いたいな…と思いながら自分のスキルアップの為!と言い聞かせ仕方なく始めた。 翌日は藤野さんに言われた通りにバスに乗り、開始40分前についていつものようにカフェでお茶して待った。 ノート、筆記用具、あとは事前に飲み物を買えば余裕で間に合う。 昨日の失態を挽回する為にも、今日は抜かりなく一日を終えたかった。部屋のプレートもしっかり確認し、深呼吸をしてから中に入る。 20分前だが前列の人達は席に座って雑談をしていた。暗黙の了解で同じ場所に腰を掛け、私は1人でノートを広げていた。 『今日は売りと買いについてだったよね』 予習をする程の余裕は全くないが、何をするかぐらいは分かっている。 せっかくお金を払ってまで通ってるのに、結局よく分からなかったでは勿体なさすぎる。 開始5分前になると「おはよ、寝坊しちゃった」隣に藤野さんが座ってくれて内心嬉しかった。 今、私の頼りの綱はブッチャけ先生よりも聞きやすい彼。 昨日の件で嫌気がさし、サラッと違う場所に移動されてたらかなりショックだったと思う。 そんな中セミナー2日目が開始されたが、中間に座っていた女性達が来ていない。講師の先生も何も触れなかったので少し気がかりだった。
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