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――三カ月後…
私は短期株と中期の二種類を買っていたが、短期の方が価格を上げ、そのタイミングで売りに出したので大きな利益を売る事が出来ていた。
師匠ともマメに連絡を取り、アドバイスを受けたおかげもある。
清水さんとは週に二回のペースで会っているが『浜田さん』から『泉ちゃん』に呼び方が変わっていた。
会う場所はとても綺麗なホテルで、いつも泊まりだし、キッチンがついてる所では清水さんが手料理を振舞ってくれたり順調に進んでいる。
昼間出かける時は遠くまで足を伸ばす事が多く、まだ一緒にショッピングを楽しんだりする事はない。
彼氏っていう存在かどうかは微妙だけど、身体を触れ合う度にそんな事はどうでもいいとリセットされ、この関係が続くなら…
と割れ物を扱うような気持ちで清水さんにハマっていた。
私はネットで自作アクセをチョコチョコ販売し、やっと数名購入する人が出始めていた。
イメージが湧いてしまうのでどうせなら『商売』にしてしまおうというのがきっかけ。
今日は久々にパスタが食べたくなり、カフェイマリで師匠と会う約束をしていてバスを降りた所。
ドアを開けるとまだ師匠の姿はなく、双碁さんがにこやかに迎えてくれた。
「いらっしゃい。ここ開いてるよ」
お店は日曜でお休みなので、今日は特等席のカウンター。
先にアイスコーヒーの準備をしてくれ、私はジワット額に滲み出た汗を拭きながらクールダウンする事が出来た。
「どう?彼氏とは上手く行ってるの?」
彼と言われてもイマイチピンと来ない関係だけど、ドキッとする響きだ。
清水さんにとって、私は期間限定の『彼女』には違いない。
「そうですね…。呼び方が『泉ちゃん』に変わりましたが、その他は至って普通です」
「そっか、距離が縮んできたんだね。でも…あんま楽しそうに見えないのは錯覚かな?」
私は十分に満足してるし、楽しめてると思っている。
しいて言うならこの時間がいつまでも続いて欲しいという不安がいつも纏わりついてると言う事だ。
「泉ちゃんまだ若いし、もし辛くなったら俺に変更してみるのも面白いかもよ?」
ウインクしながらサラッと言えてしまう所が双碁さんのいい所でもあり、チャライと思わせてしまう原因のような気もしていた。
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