cafe-imari

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 師匠が来るタイミングでナポリタンが運ばれ、双碁さんも隣に座ると今日はコンビニの鮭むすびを頬張っている。 まずは腹ごしらえとでもいうように全員が黙ったままで食事を始めた。 「次の短期株は買い注文出したんですよね?」 「はい。藤野さんと相談したアレにしました」 目をつけた株を、最近は師匠に相談してから買うようにしている。 「俺も始めよっかな…」 「双碁は向いてない」 即否定され、つまらなそうな顔をする双碁さんだが、私も何となく彼は違うような気がしていた。 「泉ちゃん、ボルタリングはどうしたの?」 「あぁ…付き合うと決まった次の日に辞めました」 「勿体ないね、せっかく始めたのに」 ついでに言えばユニフォームだって買ったばかりで他の教室に通いたい位だが、最近はアクセ作りもしているので、そういう訳にもいかない。 清水さんにお誘いがあった時はいつでも出れる様にもしておきたかった。 「上手く行ってるんですか?」 「はい、今の所順調です」 即座に答えた私に、双碁さんと師匠は沈黙して見ている。 「なんか健気に見えて可哀想だから、俺に変えてもいいよとは言ってみたんだけどね…」 双碁さんがそう言うと「いや、おススメ出来ない」とバッサリ切られていた。 「なんで?女の子の扱いも上手いし、寂しい想いもさせないからいいと思うんだけどな…」 納得いかなそうな顔でカウンターに戻ると、師匠の分のアイスコーヒーを準備している。 「あの、たまに経済雑誌とか目を通してみた方がいいかも…」 「はい…」 いつもボソッとアドバイスしてくれる師匠のお言葉を有難く頂戴して、私は一足先にカフェイマリを後にした。 今日は午後から清水さんとデート。家に一旦戻って可愛い服に着替えて万全にしておきたい。予備の下着やメイク道具にボディケア用品。 旅行用に買い揃え、小さい荷物に纏めれるように工夫もしてある。今日も彼と素敵な一夜を過ごせると思うだけで、胸がドキドキして気持ちも高まってくる。 あの人の隣で眠れるだけでも今の私は最高に幸せだし、このまま流れていけばいいという私の小さな期待が砕かれてしまうとは夢にも思ってなかった。
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