Kussy

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体験コースが終わると、私は受付で入会手続きをしようと申込用紙を貰い近くのテーブルで早速書こうとしていたが、他の三人がロッカーに直行してるのを見て急に手が止まった。 『あれ?あんなに盛り上がってたのに、入会しないの?』 実は数回通ってから決めるという感じなら、ちょっと恥ずかしい。 張り切って清水さん目当てだとバレてないだろうか。受付のお姉さんの顔を見ても笑顔が返ってくるだけだった。 ボールペンのスピードが遅くなって来た頃に、グッドタイミングで清水さんが通りかかってしまった。 「浜田さんお疲れ様でした。早速の入会手続き有難うございます。僕もトレーナーとして月に二回入りますので一緒に頑張りましょうね」 う…笑顔が眩しい。さっきまで帰ろうかと悩んでいたのに「はい!宜しくお願いします!」とつい口が滑ってしまう。 『ん?待てよ』 清水さんは今、月に二回と言っていた。私が申し込みしようとしたのは週に一度のコースなので、毎週清水さんに会えないという事になる。 「あ…あの、清水さんは二回しか担当して貰えないんですか?」 「はいでも、他のトレーナーは僕よりベテランです。丁寧にサポートしてくれますので安心して下さい」 「いやあの…私人見知りなんで…初めに教えてもらった人にずっと担当してもらいたいというか、質問もしやすくて…」 決して人見知りでもないし、今日に至っては何一つ質問なんかしていない。ただただ清水さんと会いたいだけの苦し紛れのいい訳だった。 それでも彼はニッコリと微笑んで首に巻いたタオルで汗を軽く拭いてこう言った。 「最初は不安ですよね、でも僕よりもずっと知識も豊富で頼りになるスタッフが沢山います。週一ペースだと丁度いい身体の運動になると思いますよ?浜田さん上達早そうだし」 営業スマイルだと分かっていても、爽やかにそう言われると何となく断りづらい。でも私の頭の中の天秤は上達よりも清水さんの方が上だった。 「週一コースは上達してから考えます。まずは月二回のペースから初めてみます」 「分かりました。一緒に頑張りましょう」 清水さんの後ろ姿を見送り終わると受付に入会申し込みを出して、ロッカールームに向かった。 汗も殆ど出てないので、シャワーはせず着替えが済むと受付でウエアの購入場所を聞いてフロアを出る事にした。
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