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『ここ…なんだか高級そうな気がする…』
こんな場所にポツンと建ってるにしては、中が豪華で街中にあっても不思議ではない感じがする。
天井にはシャンデリアが均等に飾られているし、壁には外国の書物がビッシリと並べられていた。
私達が案内された場所は庭が一望出来る窓際で、外に席もあるが、貸し切りみたいに誰もいなかった。
注文を済ませ一息ついた所でやっと口を開く事が出来た。
「凄く素敵な所なんですが…ここってカフェだけなんですか?」
「おや?浜田さんが知らないとは…人気ジュエリー店プロデュースの会員制カフェだよ。俺は指輪買ったから、たまたま会員様」
ニコッと笑う師匠にポカンとしていたが、どおりで重厚感のある構造な訳だ。
品もあるし、高級感も醸し出されてる。
普段足を踏み入れないような場所に連れて来てもらうと、何かの参考になればと観察モードの視線に変わった。
「あのさ…ワクワクして貰えて嬉しいんだけど、返事も聞いてないし、指輪も放置だよね?だから格好悪いけど、仕切り直しで持って来たよ」
『忘れてた!』
指輪もだが、師匠の行動自体がかなりのサプライズで、ボックスを開ける前に頭が脇道に逸れていたようだ。
師匠が目の前に小さな箱を置くタイミングで、店員さんが来た為パッと見『プロポーズ』に思えたのか一瞬動きが止まった後、バツが悪そうにケーキとコーヒーをテーブルの脇の置いて下がって行った。
「今の…完璧に誤解されましたよね?」
「プッ!恐らく。本当浜田さんといると楽しいね」
あのタイミングだと、指輪を急いで戻すとか隠すとか動揺しそうなのに、堂々と箱を出したまま笑っている師匠こそ面白い人だ。
でも双碁さんの時とは違い、こんな心境の私でも断ろうとしていないのは多分OKなんだと思った。
「あの…返事は『宜しくお願いします』なんで」
「うん、知ってる」
「えっ!?」
「嫌だったら、きっと浜田さんなら即断る筈だもん。でも箱を開けてもらいたくって」
何故か目をキラッとさせてる所を見ると、この箱にも仕掛けがありそうだ。
恐る恐る箱に触れ、リボンを解いて開けてみると指輪ではなく、小さな紙が入っているだけだった。
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