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「…オーダー?」
英語で書かれていて、そのまま言葉に出すと師匠が続けて話をする。
「やっぱ俺だと好みがよく分からないから、選んでもらうのが一番だと思って。店員さんのアドバイスは素敵な商品の提案だけど、浜田さんの好きな物まで当てれる保証ないでしょ?」
「…まぁ確かに好みは人それぞれですもんね」
「毎日のように目に触れるもんだし、嫌だなと思ってつけて欲しくないから悩んだ末、選んでもらう事にしました」
言う事が終わり満足したのか、師匠はケーキをパクリと口に入れて満足そうに笑みを浮かべている。
美味しそうなモンブランだが、私の方はラズベリーとチョコのスポンジで見た目からもワクワクするようなケーキだ。
「いただきます!」
一口食べると甘さと酸味のバランスがよく、中に薄っすらと敷いてある生クリームもしつこくない。
「おいし……」
こんなケーキ屋さんが近くにあれば、きっと毎週のように通い限定の品に並んでるかもしれない。
「どう?限定なだけの事はある?」
「ありますとも!私近所に引っ越したい位ですよ」
「ククッ…そんなに!?じゃあ、それ食べ終わったら二階で指輪決めて、仕上がったらまた来れる」
師匠らしい先を見越した考え方だ。
オーダーもここで出来て美味しいケーキも食べれるなんて一石二鳥だし、偶然見つけた感じで入ったのも上手い。
食べ終わると店員さんに案内され階段を上がり、ドアを開けてもらうと、綺麗なジュエリーがいくつも飾られていた。
ディスプレイ用の豪華な物や、私でも買えそうな物まで揃えてあるがコーナーが分かれているので気兼ねなく見れそうだ。
「藤野様、こちらへどうぞ」
小さな個室に案内されると、テーブルには指輪のアーム部分と石の写真が本のように綺麗に纏めてあった。
「こちらから選べます。気に入った物があれば声をかけて下さい」
近くにはいるが、私達がゆっくりと相談できるようにさり気なく距離感を保ってくれている。
これなら相談したい時はすぐに呼べるし、ドリンクサーバーも準備してあるので、寛いでジュエリーを迷えそう。
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