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新しいイラストを見た時点で、何となく物足りなさを感じた私は、隣に少し大きめのデザインを描いてみた。
『これペアにしたらいかも…』
リングはサイズがあるので、ブレスやネックレスにし、さり気なく彼とお揃いなのは二人だけの秘密みたいで気分も上がる。
最近は男性でもアクセサリーをつけてる人も多いし、指輪だと恥ずかしくても普通にオシャレとして身につけて貰えるかもしれない。
モデルは師匠でイメージしてみたが、シンプルな服が多いので、つや消しをしたプレートを皮のブレスに合わせたり想像が膨らんできた。
女性用はキラキラしたスワロを使うが、男性は形だけを利用し、全く違う素材を使う作戦だ。
私は手芸店に足を運んで、候補を数点選ぶと食事も摂らず作業に没頭する。
「出来た…」
試しにピアスツリーに並べてみると、悲しげに輝く涙アクセがパートナーと寄り添っているようで、二つが落ち着いた光に変化しているように見える。
満足した私はベッドに横になり、目を覚ましたのは翌日だった。
シャワーを浴び朝食を済ませたが、完成品を師匠に見せたくてソワソワしていた。
「メール…してみようかな」
急な用事でもなんでもないが、ただ藤野さんに見てもらいたいのと会いたいとが合わさってるゲンキンな考えだけ。
昨日の事もあるしと理由をつけて連絡してみると、思ったより返信が早く戻って来た。
『近くまで来たから見たい』
師匠が何時に起きているかは分からないが、すぐに返事をくれた上に会えるのはラッキーだ。
急いで支度を済ませると、ドキドキしながらマンションの下で待つ事にした。
黒の車が見え、近づいて行くと師匠の爽やかな笑顔…ではなく少し寝不足のように見えた。
「大丈夫ですか?お疲れに見えるんですけど…」
「うん…昨日考え事してたら眠れなくて。コーヒー買ったから中で飲もう」
助手席に乗ると、まずは缶コーヒーを開け一息ついてから作品を見せる事にした。
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