Kussy

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友達にふとその言葉を漏らした時「自由な女だね~」と呆れられたが、この『自由』は商売には結構向いていた。 好きだからおススメする。似合ってないとハッキリ言うが、お客様の好みは考慮。 売り上げは考えるけど、お客様の事を自分に置き変えて常に考えていただけ。 恋愛だけは失敗ばかりだが、他は結構成功してるからプラマイで言えば、バランスが取れてるのかもしれない。 「清水さ~ん…もっと話してみたい」 異性の場合は『商売根性』だけでは上手くいかないようだ。 次の日は早めに起きてタクシーで建物の近くまで行き、そこからは自分の足で場所確認してから一安心してお茶をする事にした。 オフィス街は滅多に来ないので、遅刻しても怖いし、大丈夫だとは思うが凄く怪しい場所だったらドタキャンする事も出来る。 プリントアウトした地図を片手にビルを見て回ると、大きなシルバーの看板に色んな会社の名前が入っていた。私が株を習う学校の会社名を見つけてホッする。 「結構しっかりしてそうだな」 入り口の自動ドアから見える範囲でチラッと覗いてみたが、胡散臭そうな雰囲気ではなく、むしろしっかりしてそうだった。一階は証券会社も入っているし、隣のビルは銀行。 初心者でも本当に大丈夫なのか、そちらの方が心配だ。場所の確認は出来たので、とりあえず近場のカフェを探してみる。 少し先によく行くカフェと同じロゴが見えたので、そこで待機する事にした。 オフィス街という事もあって、客層はスーツ姿の人か制服を着た女性が多い。私がいつも行くカフェと同じ店とは思えない位だ。 何となく緊張感もあるし、注文も決まっているけど『早く言わないと』と焦ってしまう。 勢いに飲まれるように流れていき、窓際の一人掛けの席を何とかキープした。 新聞を読んでる人、お化粧をチェックしてる人、ビジネストークをしているサラリーマン、特に目につく人はいないが、みんな時間を気にしている。 『私には向かない世界かも…』何となく違和感を感じる空気に包まれつつ、オレンジジュースのストローに口をつけた。
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