Kussy

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「では、続きは午後からにしましょう。お疲れ様でした」 なんとか持ち越した私は、すぐに隣を見て「本当に助かりました。私喉カラカラで耐えれなくて…」 「いえいえ。こちらもペンお借りしてますしそれに…打ち上げられた魚みたいに苦しそうでしたので」 初対面の人に醜い顔を見せて恥ずかしいばかりだが、後悔しても過ぎた時間は戻せない。 他の人はバラバラとランチに向かうようなので、私もお礼を言って部屋を出る事にした。 『今度は飲み物を絶対買っておこう!』 通路の奥に自販機があるのを確認し外に出た。この辺は全く分からないので、どこに行こうか迷ってしまう。 さっきのカフェでパンでも食べようかと思っていると、隣の席の男性も同じ方向を歩いていた。 「お昼どうされるんですか?」と何気に聞くと「よく行く喫茶店があるのでそこにしようかと。一緒に行きます?」と優しい言葉が返ってきた。 飲み物を恵んでもらい、お昼までご一緒してくれるなんてどれだけ良い人なんだろう。手を合わせて拝みたい位感謝しながら後について行った。 思ったより近くの路地にこじんまりとした喫茶店が見える。少し古そうな入り口だったが、中は改装してあり綺麗だった。 木目の床にカウンターにテーブル。こだわりがあるのか、ヴィンテージな深い茶色と艶がお店の雰囲気を格上げしてしてるように見える。 天井からチューリップ型のペンライトが下げられていて、柔らかな光で温かみも感じる。私達は奥の対面に座る席を選び腰をかけた。 「何にしますか?」 ザッとメニューを見たが、私が惹かれたのはナポリタン。ランチだとコーヒーもプラス100円で飲めるし即決だ。 「私ナポリタンのセットにします」 「僕も同じで」 オーダーが済むと私は水をゴクゴクと飲んでようやく落ち着く事が出来た。 「凄く喉乾いてるんですね。あっ…僕は藤野琥珀(ふじのこはく)と言います」 「見苦しい所ばかりお見せしてすみません。私、浜田泉と申します」 ハンカチで額を押さえ、改めて正面から見るとメガネの奥の目が切れ長で結構なイケメンさんだ。 今の私には清水さんという片思いの人がいるし、好みのタイプとは一味違うが、隣の席になれたのはラッキーとしか言いようがない。 物腰も柔らかくヒョロっと…いやスラッとしていて足も長かったし、良い意味で見栄えしている。 服のセンスも無理しすぎてなくて自然な感じに好感を持てる。
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