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「いえいえ。簡単ですよ。力が伝播して落下しているというのなら、落ちる手前にストッパーがあればいいんですよね。それを設置するのを手伝ってほしいんです」
悠磨はにこやかに要求した。変人であるという基本情報を知っているので、これくらいの変な言い分では負けない。
「そういうことか。交点となる部分にブックエンドを置くんだな」
飲み込みが早いのは常識人の芳樹だ。これには野次馬たちもなるほどと納得している。
「でも、結構な数が必要だぞ?あるのか?」
無理な要求はされないと安心した桜太が訊く。ざっと見るだけでも5か所見つかった。全体ではかなりの数が必要になる。
「この間、倉庫で発見した古いブックエンドがある。それを使おう」
「あっ、手伝うぞ」
悠磨が図書室の隣に走って行くのを、莉音も追い駆けて手伝う。
「まあ、原因の一つは優我だったけど役に立ったからさ」
落ち込む優我を楓翔が慰める。こういうところは科学部のメンバーの仲の良さが発揮されるところだ。
「そうだよな。謎を解決する過程で誰かの役に立つこともあるんだ」
桜太は七不思議解明の新たな一面を発見して喜ぶ。
「そう毎回役立つとは思えないけどね」
浮かれる桜太にしっかり釘を刺すのは千晴だ。
「持って来たぞ」
そんな会話をしていたら悠磨と莉音が戻ってきた。それぞれ段ボール箱を抱えている。これは数も多そうだ。
「俺たちも手伝うよ。図書室にはいつも世話になってるからさ」
分度器を貸してくれた男子を初めとして、野次馬していた面子が段ボールからブックエンドを取り出す。どうやら創立記念に作られたもののようで、校章がでかでかと刻印されていた。
「ありがとう。助かるよ。科学部は傾きの交わるところを指摘していってくれ」
悠磨の指示のもと、テキパキと本棚の改修作業が始まった。
こうして七不思議二つ目が取り敢えずは解決したのだった。
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