レモンの木の下で

始まりの合図

～佐久間有希(さくまゆき)～

また一つ、年を重ねようとしている。

学生生活があっという間だというのは、本当だと思う。

この一時の時間が、将来大切な宝物になるのだろう。

「じゃあ、行ってきます」

朝からドキドキしていて、いつもより早めに家を出る。

今日から高校二年になるからだ、私は緊張の面持ちで学校へ向かう。

クラス替えのメンバーによって、この一年間をどう過ごすのかが変わるのだ。

基本社交的で、今まで人間関係には苦労したことがないが、やっぱりクラスのメンバーは気になる。