今、想いを紡いで

29/34
前へ
/361ページ
次へ
「愛梨」 「……仁木君」  仁木君の顔がどんどんぼやぼやになっていき、ポロポロ涙が落ちてゆく。  ずっと、会いたかった。 「泣かないでよ。俺が何かしたって思われんじゃん」 「……仁木君がいる」 「うん、いるよ」  今、仁木君がここにいる。 会いたくて会えなかった仁木君が、触れられる距離にいる。 「……私……仁木君のことが、好きです」 「……愛梨」 「前も、今も……仁木君のことが、一番……好き、だった」  引かれても仕方のないような、人生初めての、下手な告白。  恥ずかしくなる程、全身ズタボロで泣きじゃくる私を、仁木君は高い所から見下ろしている。
/361ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加