今、想いを紡いで

32/34
前へ
/361ページ
次へ
「そっか」  寝起きらしい愛梨は、素顔のままで高校の時とちっとも変わらない。  登り始めた太陽が、俺達を照らし始める。 愛梨の目じりの涙が、キラリ宝石のように輝いた。 「まだ泣いてる」 「……ごめん」 「長かったよな、二年半。これまでの気持ちを振り返ったら、俺もウルッとくるね」  言いながら腰を屈めると、そっと愛梨の唇に自分の唇を重ねる。 「……涙の味がする」 「愛梨が泣くからじゃん。しょっぱー」  笑いながら、愛しくて。 今度は長く、唇を重ねた。
/361ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加