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途中、小さなケーキを二つ買って、愛梨の住むアパートに帰る。
レトロな雰囲気のお洒落なアパート。
階段を上がってすぐの所に愛梨の部屋はある。
「お邪魔しまーす」
部屋にはもう何度も招かれたことがあり、俺達はたまに夕飯を共にしていた。
「ちょっと待っててね。下準備は終わってるから……そんなに時間かからないと思う」
「急がなくていいよ、俺も手伝う」
台所に立つ愛梨の横に行き、見よう見まねで鍋をかき混ぜたり、食器を運んだりする。
そうして二十分程経った頃、俺達は愛梨特製のクリスマスディナーを前に、乾杯した。
愛梨に続き、先日ようやく二十歳の誕生日を迎え、シャンパンをぷはっと飲み干す。
「愛梨の手料理、めっちゃ好き」
具沢山の野菜のスープ、にんじんは星の形にカットしてあり、手の込んだ可愛いことするな、と頬が緩む。
愛梨が手の届く距離にいる。
「仁木君……いつも、美味しそうに食べるね」
「だって美味しいんだもん」
「ありがとう」
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