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答えると、唇にそっとキスを落とした。一度目は優しく触れ、うっとりしているのを確認してから二度三度と奏の唇をついばんだ。
「……んっ」
自分でも知らなかった官能的な声が漏れる。その唇の間を縫って蓮登の舌が入り込ん できた。翻弄されているうちに、身体の奥がトロッと溶けて溢れてしまいそうになる。
深い口づけを堪能した蓮登は名残惜しそうに、唇を放す。
そうして、うっとりファーストキスの余韻に浸っている奏の顔を覗きこんだ。
闇を閉じ込めたような、昏い瞳がそこにある。
「大好きだけど、とても奏のことを幸せにはしてあげられそうにないんだ。
だから、以前は応えられなかった。
俺の見てないところで、幸せになって欲しいと思っていたから。
でも、俺の見てないところで不本意な目に合って嘆き悲しむくらいなら――俺が責任持って壊してあげる」
愛でも囁くような、甘い口調で蓮登はきっぱりそう言いきった。
心の奥から蕩けきっていた奏は、その言葉の意味をうまく咀嚼することが出来ない。
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