200人が本棚に入れています
本棚に追加
会社を出た間宮くんは足を止めたかと思うと、
まるで誰かを探すように辺りをキョロキョロと見渡しだす。
―――私を探してる?
そう思った矢先に誰かから電話が掛かってきたらしく、
ポケットから携帯を取りだし話しだした。
誰だろう。
声を掛けるタイミングを完全に逃してしまった私は
不思議に思いながらも遠目でその様子を見つめる。
電話は1分にも満たないものだったが、
電話を切った間宮くんは深いため息をひとつつき、
駅とは逆の方向へと歩きだした。
私には残業だからと言っていたのに、
誰かと約束でもあったの?
間宮くんの言動に一抹の不安が過ぎる。
前に経験したことがあることだから
過剰になり過ぎているのかもしれない。
―――どうか、私の勘が外れますように……
.
最初のコメントを投稿しよう!