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「何で電話に出ないんだ?」
出社して間宮くんの第一声がコレだった。
――なんでって……
聞かれて脳裏に横切るのは金曜日の仲良さげな2人の姿。
「ごめん。頭が痛くてずっと寝てたから……」
咄嗟に上手い言い訳も見つからず、まるで子供のような言い訳をしてしまった。
「頭痛?」
さすがに苦しすぎる嘘に半信半疑な顔を見せる。
「あ、ごめん。もう行かなきゃ」
これ以上、追及されないうちにと足早に間宮くんの傍から離れた。
週末。
何度も何度も間宮くんから着信とメールがあった。
”どうした?”
”なんかあった?”
”大丈夫?”
”心配だから連絡して”
そんなに心配ならアパートまで来てくれたらいいのに、メールや電話だけで来ることはなかった。
それは亜里沙ちゃんと居たから?
もし電話して、電話の向こうから彼女の声が聞こえたりしたらと思うと、電話を掛けることができなかった。
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