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「涼子さん、待って!」
会社を出てすぐのところで呼ばれ私は足を止めた。
さすがに無視するわけにはいかない。
「何?どうかしたの?」
私は深く息を吐くと、ゆっくり振り返り何でもない顔をして間宮くんを見る。
「どうかしたのは、こっちの台詞だろ。
メールしても電話しても全然、返事くれないし」
少し苛立ちを帯びた顔で私の方に詰め寄る。
「俺、なんか気に障るようなことした?
したんなら言って?
言ってくれなきゃ分からないし、正直このままはしんどい」
間宮くんの言葉が重く深くのしかかる。
何で亜理紗ちゃんと会ってるの?
もしかして亜理紗ちゃんと寄りを戻した?
本当は言いたかった。
だけど、それを言ってしまうと私達は確実に終わりになってしまう。
それが分かっているから、私はどうしても言うことができなかった。
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