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「本当に何でもないから……」
だから私は自分の気持ちを押し殺し、
そう言って誤魔化すことしかできなかった。
「本当?」
でもさすがに最近の私の態度に間宮くんも、
はいそうですか、とはいかなかったらしく
怪訝そうな顔で見てくる。
「本当だって。
まだ少し頭痛がするから今日は上がらせてもらうだけだし」
平静を取り繕うために無理に笑って見せるが、
その分、心がキシキシと痛む。
だけど決定的な一言をいって“別れ”を告げられてしまうのが怖くて、
気持ちをグッと堪える。
「そうなんだ。大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込んできたが、
一瞬だけど間宮くんがホッとした顔をしたのを私は見逃さなかった。
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