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回収屋というのは、人を殺すのか。鹿敷を殺したと言ったが、鹿敷は体を乗り換える。その鹿敷の死体は、もう鹿敷ではないのだろう。
「鹿敷は、海に捨てたのか?」
「石を括り付けて、ビニールに詰め込んで、海に沈めた」
ここは、任侠の世界なのだろうか。でも、どうして俺は、海に捨てなかったのだろう。俺と、鹿敷の違いは分からない。
そうか、俺は、駅の近くで殺されて、運搬に困ったのか。すると、この穴は、仮の捨て場であったか。もしかすると、改めて来て海に沈める予定だったのかもしれない。
駅の周辺を思い出してみる、神社の後ろに立ち入り禁止の区画があった気がする。ここは、まだ駅の周辺なのか。では、携帯電話が使用できるかもしれない。ポケットに、携帯電話が入っていた。これは、俺のものではなく、生葬社が貸し出ししたものだ。
充電がなくなり、画面が消えていた。再度稼働してみると、一瞬、画面が出たがバッテリーがありませんと表示され、再び消えた。
「ここから、変な音がする」
携帯電話の音で、気付かれてしまった。ライトが、穴の中を照らす。奥に移動していたが、一人が入って来ようとしていた。
「遊部さん!」
丼池が呼ぶ声がする。
「遊部さん!」
争っているような音がしていた。回収屋は複数人であった、丼池は大丈夫であろうか。俺は、加勢しなくてはいけないと、今いる穴の外に出ようとした。
状況を確認してから、出た方がいいだろう。俺が穴から顔を出し様子を伺うと、誰もいない。
「遊部さん!」
今度は昂の声で、走るように近寄ってきていた。
「逃げられました……」
横から丼池が出てくると、俺に抱きつき、そのまま穴から出されていた。
「……一人で死ぬなんて言わないでください。どれだけ、泣いたと思いますか……」
丼池が、俺をきつく抱きしめ泣いていた。
「儀場さんが、遊部さんと約束したから死んだままにしたいと言うので、殴りそうになりました」
その後、回収が終了となり、その理由が俺であったという。生きて体験させるために、新しい異物(インプラント)を送り込んだ。その異物(インプラント)の死をもって、回収業務を終了するとの連絡があったのだ。
そのタイミングでゆくと、死んだのは俺であった。
「良かった……生きて会えた……」
俺も、生きて会えて良かった。
「もしかして、昂もいるよね?」
「はい」
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