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「うん……現実でも夢でも君と一緒にいたから、ちょっとはしゃぎすぎてしまったのかもね」
「もう……」
それだけの軽口を叩けるなら大丈夫と思ったけど、事態は思ったよりも深刻みたい。
フロリアはぐたっと、枕に顔を埋めてしまった。
「ごめんね……悪いけれど、ちょっとひとりで寝かせておいてもらえないかい?」
「え、ええ……」
少し不安だったけれど、フロリアもそう言ってるし、学校もある。
「じゃあ、私は夕方までいないけど、具合が良くなったらなにか食べてね」
「ああ……ありがとう」
そう言って、フロリアは目をつぶった。
「フロリア、どうしちゃったのかな……」
日も暮れるころ。
私は、美琴ちゃんの誘いも断ってまっすぐ家に帰ってきていた。
ダイニングには、フロリアのために用意していた朝ごはんが手付かずに残っていた。
「ロイもユーゴも、あれで友だちには気を遣っているのよね」
病気のフロリアのためのご飯に手をつけなかったふたりを少し見直した。
そしてふと、以前のフロリアの言葉を思い出す。
「大丈夫だよ、ただ、そうだね……幸せすぎる、罰、かな?」
「幸せすぎるって、どういうことかな……」
あの時は、いつものフロリアの軽口だと聞き流していたけれど。
なにか、深い意味があったのかな。
「フロリアに、聞いてみよう」
ここで思い悩んでいても仕方ないよね。私は、フロリアの部屋に向かった。
「フロリア、私よ。いい?」
……。
返事は無い。
「……入るわよ」
ギイー、バタン
フロリアは、ぐったりとしていた。
「……ああ、君か」
側に寄ってはじめて私に気づくくらい、フロリアは消耗していた。
「ねえ、フロリア。このごろ体調を崩してばかりじゃない。変よ、どうしたの?」
フロリアは、弱々しく笑った。
「何でもないよ、このくらい……」
嘘。
フロリアは、嘘をついている。それが、私にはわかった。
だって、フロリアは、私の大好きなひとだもの。それくらいはわかるわ。
でも、フロリアが隠したがっているのだったら、私も無理に問い詰めないほうがいいのかな。
どうしよう……。
「本当に、なんでもないのね?」
私は自分自身の不安を押し殺すように尋ねた。
「ああ、心配しないで」
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