入学者、リィタ

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カンテラで照らされた小さな部屋、一人の少女が机の上に有る筆記用具と何も書かれていない羊皮紙の束と、そしてくすんだ緑色の小さな宝石らしき物が先端に付けられた腕先程の短い杖を革製の鞄の中に入れている。 年の頃は14、15程で眼鏡を掛けていて東方大陸では珍しい茶髪のおさげをしていた。 顔立ちは可愛らしいが、身長は歳の割りにやや低めだった。 少女は机の上に有った物を鞄の中に入れた後、野暮ったいローブを脱いで、部屋の隅にある二段ベットの下に有った自分の寝間着を手に取る。 すると、二段ベットの上から声を掛けられた。 「アンタって、結構良い体してるねぇ~……着痩せするタイプでしょ?」 少女は顔を赤らめて二段ベットの上に居る者を睨む。 「マーリィ!!…何を言い出すのよ!!」 少女の怒鳴り声に二段ベットの上に居た者が首を竦める。 「そんなに怒らないでよ、リィタ」 マーリィと呼ばれたリィタと同じ位の歳の少女が二段ベットから降りてきた。 こちらは東方大陸特有の青い髪をしていて肩の所まで髪を伸ばしていた。 若干鋭い目付きをした少女で身長はリィタより、やや高かった。
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