舌打ち

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しばらく進むと見たことが無い道を走っているのに気付いた。『おかしいな。標識を見逃したか?』と思い、車をUターンさせる。 だが、いくら走れども、元の道に戻れない。進んだ距離よりも戻っているはずなのに、だ。 男は焦り、右へ左へと車を走らせた。そして、完全に光も無いような道に出てしまった。車のヘッドライトだけを頼りに道を進む。男が途方に暮れながら進んでいると、 「あ、そこ右」 後部座席で寝ている彼女が突然言った。男は従いながら聞く。 「ここら辺、分かるの?」 「うん。そこ左」 男は彼女の指示に従い、車を走らせる。 「右」 「左」 「真っ直ぐ」 「右」 車をどんどん進ませる。男は感覚が麻痺し、どこにいるかも分からなくなり始めていた。 ただただ彼女の指示に従う。
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