第1話 試合

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当時の僕に取ってそれがすべてだった。 入部した頃はそれが世界のすべてだとなんの疑いもなく思っていた。それが全てではない、と知るのは高校を卒業して少し経ってからのことだ。当時の僕の自己実現はちゃんと部活に参加してトレーニングしてレギュラーになってそして試合で活躍することだった。こうして降り返ってみると少し偏り過ぎていたかなとも思うし、世の中にはサッカーだけがすべてじゃない人の方が多い、ということを知らされた。  それでもいいと思う。 僕はあの日々を綺麗な思い出として残しているし負けてばかりだったけれど微塵も公開していない。  もう一度、あの人生に一度だけのほとんどの時間をサッカーだけに費やせた日々に戻れるのなら僕は迷いなく戻ることだろう。  
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