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「俺はもっとでかくなるんだ」
「それ以上でかくなってんてどうすんだ。覗きでもすんのか」
竜崎の身長は190センチもある。少しわけて欲しいくらいだ。
「しょーもないな」
「大概の人間はしょーもないことで出来てんだよ。テストにでるから覚えとけ」
「嫌だ」
グランドに向かう廊下に出ると僕らと同じように部活へ向かう生徒の姿が何人か見えた。楽しみにしている目もあれば、始まらなければいいのになという目をしている人もいる。
「テストの結果どうだった? よかったんだろう?」
「まぁ努力した分の結果は出たよ」
「いーな。俺も努力したんだけどなぁ。結果は散々だ」
「お前さ、努力つっても一夜づけだろ?」
「一夜もつけないかも」
「それは努力って言わねーんだよ。僕だって結果が出るように努力してんだ」
「ジャージは頭いいからなぁ。羨ましい」
「僕は頭がよくないから計画的に努力するんだ」
「なぁ、今度のテストは一緒に勉強しようや」
「嫌だ。ウイイレ大会になっちゃうから」
あっという間に部室のドアの前についた。古ぼけた木のドアを僕は開けた。ギィと木が軋む音がする。ほこりの匂いが僕の鼻を刺した。
僕は三星高校サッカー部に所属している。部員は二年生十人と一年生二人。大会の成績はおもわしくない。それでも楽しく部活をやっている。僕はこのサッカー部が好きだ。
「ういっす」
僕が部室に入るとすでに同級生の上野が来ていた。上野が小さい声で「ういっす」と返事をする。僕はすぐに着替えを始めた。もうすぐ部活開始の時間である。
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