魔道具の恐怖

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「あいた!もう!ガイ!どういうつもり?」 頭をさすりながら僕が言うと、ガイは、周囲を見回しながら言った。 「見ろ。此処には猛毒の苔が無数に有るんだ。本来なら、魔物ですら足を踏み入れる事を躊躇うような深い森の奥で、採集して来なければならないような苔が多種多様に渡って有るんだぞ?これだけあれば、多くの薬が作れるだろ」 「ああ!!!!」 ガイの言葉に、僕はもう一度周囲を確認した。 そう・・・・・本来ならこんな場所には決して生えないこの猛毒の苔達。この場所で沢山群生している。これって、すごい事だよね? そして、此処に居る人達は苔の毒に影響され無いって事だから、苔を育てたり採集したり精製したり・・・・し放題って事で。それは、薬を作る為には凄く大事な事だよね。 この苔って凄く貴重だから中々沢山薬が出来なかったけど、これからは安定して供給出来るようになるかもしれないって事だし。 僕は、その事を魔力球の中に居る男性に話してみた。 「だが、それには彼等の協力が不可欠で、納得して貰えるかどうか・・・」 そう言って言い淀む彼に僕は言った。 「冷たいかもしれないけど、彼等は、皆・・・本来ならば死ぬ運命だったんだよ?人ではなくなってしまったけど、それでも別の種族として生きてるんだ。これからも、生きていかなきゃならないと思う。 でもね、僕は思うんだ。種族が変わったって関係無いってね。生きてるんだもの。生き方や生活は変化してしまうけど、そうして生きていけるんだもの。 苦しい生き方をするわけじゃ無い。むしろ、楽かもしれ無いよ?だって、魔物に襲われる事が先ず無いし。此処は、猛毒の湖になってるんだから、魔物は襲って来ないでしょ?魔法の泉だから乾燥する事も無いし。食事だって半分植物化してるみたいだから、殆ど必要無いみたいだよ。多分だけど・・・・・。 今までと全然違う生活になるけど・・・・それでも、きっと家族はそのまま一緒に生きて行けると思うし・・・・寿命も長くなったんじゃないかな。ゆっくり生きる事になるからね。違うかな」 僕の言葉に、尻尾を揺らしながら考えるようにすると、ガイは言った。 「んー。そうかもしれねえな。ま、どっちにしたって現実を見て貰って、これからを考えて貰うしかねえか。俺らでどうにか出来る事じゃねえだろうしな・・・・ん?おい。屋敷の有った場所にも、結構な人数が復活してるぞ」
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