魔道具の恐怖

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あんな事になるなんて・・・・誰も予想はしてなかった。 本当になんて厄介なんだ。こんな事が起こるなんて!あり得ない! 僕は、目の前の光景に絶句する。 「何でこうなるんだろ・・・・ねえ?ガイ。聞いた事有る?こんなの・・・・・」 僕は顔を歪めて言った。 ガイは僕の肩の上から僕と同じ光景を見ている。 『俺様もこんな現象は聞いた事が無い。だが、何とかしなきゃならんだろ・・・それは事実だ』 そう言って緊張した表情で正面を見据える。 そこに広がる光景は普通じゃなかった。 元々は、田舎で有りながら、そこそこ栄えを見せていた町だった。 貴族が治めて結構な人数の人達が住んでいて、賑わって居たんだろうなって思う。 でも、今は物音が或る特定の音が聞こえる以外は何も聞こえない。 一夜にしてそこは・・・・・・・・水?の底に沈んでいた。 唯、その水は町だった物を覆い尽くした苔?のような物の上に覆うように発生していた。 つまり、一晩で町を苔が覆い尽くして更にその上を水で覆ってしまったという事だ。 町の人達がどうなったのかも、中心に居た貴族の屋敷がどうなったのかも・・・・・何も分からなかった。 僕はじっと水の底を見つめる。 「ねえ。この苔って・・・・・確か凄い猛毒の苔じゃ無かった?」 いやねえ・・・・見た目がさあ。鮮やかなピンク色なんだよね。 『ああ。そうだな。これは・・・・・・普通、凄い瘴気を吹き上げる猛毒の苔だぞ。こんな状態になってるのは初めて見た』 そう。水の底に沈んでいる苔は、魔物の多くいる森の奥深くに稀に発生することのある苔だ。 確か、猛毒ヒソカブトだったかな。発する瘴気を吸い込んだ人間は体内から腐って行くんだ。 激痛と幻覚と苦しみで、まず正気を保てない。 僅かでもそれが体内に入ったが最後解毒は不可能って言われてる。 「ねえ?これって本当に僕は大丈夫なの?」 僕が聞くとガイは、笑いながら言った。 『ああ。始祖属性を持つ者は特殊でな、この世界に所属する如何なる毒も効か無いんだ。身体に害をなす物は全て効果が無くなる。これは、この属性の特性なんだ。お前、魔力を使えるようになってから、病気をしたり火傷や溺れるなんて経験は無いだろ?怪我は普通に有るだろうけどな』 言われてみて思い出した。そういえば、村で僕は病気らしい病気をした記憶が無い。 村の多くがかかった流行病もそうだ。
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