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僕は頷いて風を纏って浮かび上がると、湖の上を移動してその場所に行った。
そして呼吸を整えてから一応周囲に空気の膜を張ってから、降りる。
最初、水面に触れた。
そしてそのまま沈んでいく。
苔の部分に着いた・・・・・・ズブリ・・・・・・そのまま、まるで柔らかい泥に沈んで行くかのような手ごたえのなさで、僕達は沈む。
最初、周囲は何も見え無かった。
けれど、足元に硬い手ごたえを感じて僕はそこに立つと、慎重にそのまま移動して手ごたえを感じない場所に移動する。
直ぐに、そんな場所に行き着いて再び僕の身体は沈み始めた。
けれど、それと同時に視界が広がった。
上空は鮮やかなピンクの色彩で、足元は一面緑の絨毯のようになってる。
元々は建物だったと思われるものは、次々に崩れ落ちて行ってる。
足元は緑だが、建物に着いているのは紫や赤や黒・・・・・色んな色の苔で、全てが猛毒と認識されている種類の苔だ。
(こんな狭い空間にこれだけの種類の苔が・・・それも、猛毒と言われてる物に限ってなんて、有り得ない・・・・・・何でこんな場所になってるんだ?)
僕は、周囲を見回して確認をする。
動いている者は誰も居ない。
此処には沢山の人間が居たはずなんだけど。全滅かな・・・・・。
緑の苔の上に降り立って、僕はそのまま移動を開始する。
僕の後ろは元は貴族の屋敷だったんだろうね。でも、今は本当に極彩色に彩られた物になってる。
元がどんな風だったのかは、全然分からない。
僕は少し移動をして、考えてから足を止めると目の前の壁だった物に触れてみた。
僕が触れると、何と極彩色に彩られた物はキラキラと煌きながら、元の色に戻る。
(え?何で?どうなってるの?)
僕が驚いているとガイが言った。
『お前の属性が、分解してるんだな。これは。自分に有害と、判断したから無害に転じようとして分解してるんだ。俺様も経験が有る。普通は、これだけの毒が有ればなんらかの影響を受けるものなんだが・・・・本当に恐るべしだな。始祖属性って奴は。他に人が居ない事が幸いだな』
最後の呟きは小さい声だったけど聞こえた。
(ああ。化物って言われたのかな。はは・・・・・・僕と同じだね)
そう。フリーダムとして仕事をしてると、結構言われる。
こんな事が出来るなんて人間じゃ無い。化物だ!ってね。
まあ。だいぶ慣れたかな。
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