魔道具の恐怖

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自分が理解でき無いものは全てが化物だって言うんだもの。 それを言うのは全ての人じゃ無いけど結構居る。 特に、田舎の人が多いかなあ。知識が無いから理解出来ない事は受け付け無いんだって言われた。 同じ魔法使いにね。魔法使いって、普通の人から見たら全てが化物だってさ。 同じ人間なのにね。何だか違う種属みたいだよね。 ちょっと哀しいかな。 僕は、周囲を見回して、扉のような場所が直ぐそばに有る事に気が付いて移動すると、再び手を伸ばして触れた。 それと同時に扉を覆っていた苔は消滅してしまった。 僕は、ボロボロになってしまっている扉をそっと押してみた。 扉は殆ど抵抗も見せずに、中に向かって倒れてしまった。 暗い屋敷の中に苔が埃のように舞い上がる。 周囲には水が有るんだよね?全然そんな感じがしない。 向こう側に倒れこんだ扉の有った場所からの開口部から中を覗き込んだ。 広い開口部の中は真っ暗で見えなかった。 僕は魔力球に光を纏わせて中に送り込む。直ぐに周囲が見えるようになった。 そのまま多くの魔力球を走らせる。 そして感知した泣き声。 大人の男が悲痛な声を上げて泣いている声を魔力球が拾った。 (生存者・・・・・・とは違うよね。なんだろ・・・・こんな場所で人が生き残れるはずはないんだけどな) 僕の思いに呼応するかのように、ガイが言った。 『確かに妙だな。生き残りが居るはずも無いのに声か・・・・・どっちにせよ確認だな。行くぞ』 ガイの言葉に、僕は頷いて思った。 (そうだね。そうするしか無いよね。行こう) 僕達は屋敷の中に足を踏み入れて、歩き出した。苔がまるで埃のように舞う中を移動して行く。 元は立派な貴族の屋敷だったんだろうね。其処彼処に立派な美術品があったんだと思う。 でも、その全てを苔が覆い尽くしているし、時に耐え切れなくなったのか、まるで砂のように崩れ落ちて行ってしまう苔の塊。 床にも、其処彼処に微妙な盛り上がりが有る。 恐らくは、人だった物なんだろうね。きっとさ。 毒に侵されて苦しんで亡くなったと思うんだ。僕には、どうしようも無い事なんだ。 何とか心の平静を保つようにしつつ、屋敷の奥にと向かう僕達。 そして、遂に恐らくはこの屋敷の持ち主だった貴族の、当主と思われる者の寝室だったんだろうなって場所に着いた。 僕が手を触れると豪華な扉が姿を現したから間違いは無いと思う。
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