魔道具の恐怖

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僕は、大きく息を吐いて言った。 「貴方は、フーセン家に随分と忠義を尽くしていましたね?その報酬として貰った魔道具」 ガイに教えて貰った魔道具一覧。フーセンが、持ち逃げした魔道具の中に、この男性が指に着けてる指輪が有ったんだよね。僕の言葉に、驚愕の表情をする男性。 「き、貴様は何を知っているんだ!」 そう言って僕に殺気を向ける男性。僕は、男性の目を見て言った。 「貴方は、その指輪に気に入られたんでしょうね。普通ならば、魔武器である指輪は悪事を重ねると持ち主を乗っ取ります。つまり、持ち主の身体を奪う形を取るんですよ。そして、暴走を始める。周囲の全てを殺すまで・・・・・・・。最後は自らの身体が耐えきれなくなって、崩壊して終わるらしいですね」 男性は驚愕の表情をした。 「けれど、今回は違った。魔武器は貴方をどういう理由から気に入ってしまった。だから、貴方を乗っ取る事はしなかった。けれど、暴走は起こってしまい、魔武器の能力・・・・・・毒・・・・・ですか?それが周囲に撒き散らされてしまった」 僕の言葉に、驚愕の表情のままに、自分の指に嵌まっている指輪を見つめる男性。そして、それを外そうとしてみた。だが、その瞬間・・・・・男性は悲鳴を上げて手を離した。うん。指輪が拒否したんだろうね。さて。どうしたものか。男性の指に着けたまま僕の魔力を流し込むのは危険だよね。当然。だけどこのままには出来ない。それも事実。じゃあ。どうしよう。 僕は、無言で男性を見つめる。 魔力球の中でへたり込むようになって居た男性は呼吸を整えてから言った。 「で、では、この街の惨状や娘が消えたのも全てがこの指輪のせいだと?」 憎しみを込めて睨むように指輪を見る男性に、僕は首を振った。 「いいえ。それはあくまでも切っ掛けに過ぎませんよ。全ては、貴方がその魔道具を言われるがままに使用した事が全てです。言われる事が無くても私的な事に随分と使用したのでは有りませんか?貴方が持つ魔道具は随分な力を持ってしまっているようです。 魔道具がそれほど力を持つためには、余程多くの命を奪わなければ持つ事は出来ない筈です」 僕の言葉に、呆然と魔道具を見つめる男性。 「す・・・・全ては・・・・・私のした事が・・・・・原因だと?」 ガックリと肩を落として魔力球の中で、へたり込む男性。 そうしている間も崩壊は進んで行き、周囲は全て苔に覆われた。
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